巻頭提言
“災害大国ニッポン”に不可欠の防災モビリティ

防災庁発足を視野に入れ、注目度高まる災害対策車

 青森、岩手、山梨······。この6月、我々の生活を脅かす地震が東日本で相次ぎ発生した。日本列島は太平洋プレート、北米プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートの衝突部に位置しており、プレート境界部の地殻変動による地震の発生が避けられないことは周知の通りだ。

 日本人は繰り返し発生する大地震と懸命に闘い、過酷な試練を克服しながら生き抜いてきたわけで、今後もその構図を避けることは不可能であると言えるだろう。

 自然災害と言えば、近年、日本列島を頻繁に 苦しめているのが集中豪雨、洪水だ。 線状降水帯の発生で河川の氾濫、山岳部の土砂崩れが相次ぎ、被害を拡大させることが増えている。

 災害大国ニッポンには自然災害への抜本的対応策が求められているわけで、 今年11月に発足が予定されている防災庁への期待は大きい。 同庁は発生不可避とされる南海トラフ巨大地震を視野に入れた防災対策の司令塔的役割を担うことになる。

 防災庁の発足は官民一体となった防災システムの整備・拡充を加速させていくはずだが、 その過程において災害対策車に対する注目度が一段と高まっていくことは間違いない。

 今年6月に西新宿で開催された展示会「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026」には 移動電源車、水陸両用車、防災インフラカーなどの災害対策車が出展され、来場者の注目を集めていた。 災害に備える特装車両の開発とモビリティ活用システムの強化は、防災対策の必須項目としてクローズアップされていくはずだ。 さらに言えば、災害対策車だけでなく、普通乗用車においても災害に強い車両構造、防災用パーツの強化が進められていくに違いない。 昨今、車両の中に配備しておく防災グッズの製品ラインアップも拡充されている。

 相次ぎ、日本列島を襲う自然災害──。災害対策車、防災システムをめぐる今後の動向を注視していきたい。

(本誌・高木賢)


 BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026
“次世代未来都市”を展望

“働く”EV、躍動する電動車、最新鋭インフラ機器、災害対策車など一堂に集結

「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026〜自転車・電動モビリティまちづくり博〜」 (主催:BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026実行委員会、特別協賛:アイキューソフィア株式会社、 後援:自転車活用推進議員連盟/自転車活用推進本部/国土交通省/経済産業省/スポーツ庁/東京都/自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会 /一般社団法人CHAdeMO協議会/一般社団法人次世代自動車振興センター/全国自転車施策推進自治体連絡協議会/公益財団法人東京都環境公社/一般社団法人自転車協会 /一般財団法人自転車産業振興協会/一般財団法人日本自転車普及協会/一般社団法人日本自動車車体補修協会/一般社団法人自転車駐車場工業会 /NPO法人自転車活用推進研究会/日本自転車軽自動車商協同組合連合会/東京都自転車商協同組合/一般社団法人日本シェアサイクル協会、 協力:警視庁交通部、運営事務局:株式会社ライジング出版) が6月10日(水)・11日(木)の両日、東京・西新宿の新宿住友ビル三角広場(屋内ドーム空間)で開催された。

 11年目を迎えた今年の同展にはEV(電気自動車)、電動バイク、電動アシスト自転車、EV用充放電機器、駐輪・駐車場機器、 災害対策車・防災用機器などのニューモデル、話題の製品が展示・公開され、注目を集めた。

<以下本文は雑誌に掲載>


 BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026
 特別寄稿
私が「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO」を推す5つの理由

 オフィスTown Build代表 前野博司

EV時代の主役は「都市インフラ」そのものである。

 今回のBICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026を視察して最も強く感じたことは、 この展示会がもはや単なる「EV展示会」ではなく、「まちづくりとモビリティを一体で考える展示会」へと大きく進化したことである。

 会場にはEV、電動アシスト自転車、充電設備、駐輪・駐車システム、防災車両、再生可能エネルギー関連などが一堂に集まり、 「人やモノをどう移動させるか」だけではなく、「都市全体をどう機能させるか」という視点で提案が行われていた。 来場者も自動車業界だけではない。 自治体、デベロッパー、建設会社、電力会社、通信会社、物流会社など、まちづくりに関わる多様な業界が集まり、 新しい連携を模索していたことが印象的であった。

 今回、筆者が特に注目した点は5つある。

 第一は、EVが「車」から「エネルギー設備」へと進化していることである。 充電設備、蓄電池、V2HやV2Gなど、電力インフラとの融合は想像以上のスピードで進んでいる。 EVは移動手段であると同時に、電力を蓄え、供給する社会インフラになろうとしている。

 第二は、商用EVの存在感が急速に高まっていることである。 物流車両、配送車、自治体業務車両などの展示が目立ち、 電動化の主戦場は乗用車から商用車へと広がりつつある。企業活動そのものがEV化によって変わる時代が始まっている。

 第三は、駐車場・駐輪場が単なる保管施設ではなく、「都市サービス拠点」へ変貌しようとしていることである。 EV充電、シェアサイクル、物流、防災機能を組み合わせた提案が数多く見られた。 これは、筆者が以前から提唱してきた「歩く・乗る・つなぐ」という短距離交通システムの考え方と方向性を同じくするものであり、 大きな時代の流れを感じた。

 第四は、防災との融合である。EVを非常用電源として活用する提案が増え、災害時にも都市機能を維持する重要なインフラとして期待されている。

 第五は、ワイヤレス充電や高出力急速充電など、新技術が実証段階から実用段階へ移行し始めていることである。 数年前まで未来技術と考えられていたものが、現実のビジネスとして市場へ投入される段階に入っている。

 これらを総合すると、EV時代の主役は「車」ではなく、「都市インフラ」そのものであると言える。 ガソリン車時代は自動車メーカーが競争の中心であった。 しかし、今後は充電設備、電力供給、駐車場、シェアサイクル、AIによる交通制御、エネルギーマネジメントなどを含めた都市全体の仕組みが競争力を左右する。 つまり、自動車メーカーだけでは未来は創れない時代に入ったのである。

 この変化は、機械式駐車場メーカー、設備メーカー、建設会社、IT企業、電力会社など、あらゆる企業に新たな市場をもたらす。 一方で、この流れを見過ごせば、自社の強みを生かす機会を失う可能性もある。


「出展企業」として参画してこそ技術力、構想、ビジョンを市場へ発信できる。

 以上のことを考え合わせれば、BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPOの意義は今後さらに大きくなるはずだ。 ここには最新技術だけではなく、新しい事業モデル、新しい提携先、新しい顧客、新しい市場が集まる。 本展示会は市場の変化を知る場であると同時に、自社の存在価値を発信する場へと変わってきているのである。

 来場者として見学するだけでも得るものは多い。 しかし、本当に価値があるのは「出展企業」として参加することである。 展示会は製品を並べる場所ではない。自社の技術力、構想、ビジョンを市場へ発信し、異業種との協業や共同開発、自治体との実証実験、新規顧客との出会いを生み出す舞台である。 そこには、従来の営業活動だけでは得られない新しいビジネスチャンスが存在する。

 市場が大きく変化する時代には、「何を売るか」よりも「市場からどう見られているか」が企業の将来を左右する。 来年も出展する企業は、「未来を創る企業」として認識されるだろう。

 その一方で、出展しない企業は技術力があっても市場との接点を失い、存在感を示す機会を逃すかもしれない。

 変化の激しい時代において、「様子を見る」という選択は必ずしも安全策ではない。 市場が動き始めた今こそ、自社の技術と未来への提案を携えて展示会に挑戦する時期ではないだろうか。

 来年のBICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPOは、企業の成長戦略を加速させる絶好の舞台になると確信している。


 BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026
 注目企業・話題の商品を追う!

ヤマトモビリティ& Mfg. /アイキューソフィア/東海技研/OSS/スターチャージエネルギージャパン/サポートマーケティングサービス / Moplus / ZO MOTORS/東光高岳/タツノ/トースト17バイシクル事業部/ Kia PBVジャパン/TCL/Zerova /エネゲート

<記事は雑誌に掲載>


 BICYCLE-E·MOBILITY CITY EXPO 2026
パネルディスカッション(ダイジェスト版)

「EVを活用した非常時・平常時の電源確保」

出席者
 高橋伸和(北海道電気相互株式会社代表取締役)
 御堀直嗣(モータージャーナリスト)
 高木啓司(株式会社山下PMCシニアマネージャー)
 疋田 智(TBSテレビGM職プロデューサー)

 BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026では 「EVを活用した非常時・平常時の電源確保」をテーマとして 高橋伸和、御堀直嗣、高木啓司、疋田智の4氏に話し合っていただいた。 時間の制約がある中で詳しい論議は難しい状況ではあったが、 次世代のまちづくりの中でEV、そして電源の重要性についての課題、要点は提示していただいたはずだ。

 本ディスカッションのダイジェスト版を記事掲載させていただくことにした。

<記事は雑誌に掲載>


 BICYCLE-E·MOBILITY CITY EXPO 2026
パネルディスカッション(ダイジェスト版)

災害発生時のサバイバル戦略

出席者
 野々村健志(トヨタカローラ島根代表取締役社長)
 富和清訓(医学博士・西奈良中央病院整形外科医)
 五十嵐優樹(株式会社FDS代表取締役)
 大江晴久(株式会社大江車体特装代表取締役)
 司会:遠藤まさ子(自転車ジャーナリスト)

 災害大国と言われる日本には防災対策の拡充が不可欠だ。 「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO2026」はモビリティを活用した防災の充実化も重要なテーマに掲げている。 今年は野々村健志、富和清訓、五十嵐優樹、大江晴久の4氏に パネルディスカッション「災害発生時のサバイバル戦略」を展開していただいた(司会は遠藤まさ子氏が担当)。

 本欄で同ディスカッションのダイジェスト版をお届けすることにした。

<記事は雑誌に掲載>


 BICYCLE-E·MOBILITY CITY EXPO 2026
パネルディスカッション(ダイジェスト版)

「Velo-city 2027 Ehime」(5月25〜28日)開催の意義

“共生”テーマに、世界のサイクリストが愛媛県松山市に集結

出席者
 藤原康芳(Velo-city 2027 Ehime実行委員会事務局長)
 小林成基(NPO自転車活用推進研究会理事長)
 遠藤まさ子(自転車ジャーナリスト)

 2027年5月25日から28日までの4日間、愛媛県松山市で自転車国際会議「Velo-city 2027 Ehime」が開催される。 同会議が日本で実施されるのは初めてで、アジアでは2016年の台北市に続いて2回目だ。 同会議には世界各国から大勢の自転車政策決定者や学者、研究者らが集まり、 自転車政策などについて先進的な議論を展開する。 世界のサイクリストが交流する楽しい場でもある。

 「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026」ではセミナールームにおいて、 「Velo-city 2027 Ehime」の内容、開催の意義などについて 藤原康芳、小林成基、遠藤まさ子の3氏に話し合っていただいた。

<記事は雑誌に掲載>


 Close up!
日東工業、国内メーカー初のJARI認証9.6kW普通充電器を発売

補助金対象製品。1時間充電で約67kmの走行が可能

 日東工業(本社・愛知県長久手市、取締役社長COO・手嶋晶隆)は、EV・PHEV用普通充電器「Pit-2G」シリーズに、国内メーカー初となる「9.6kW高出力普通充電器」を新たに追加し、7月21日に発売した。同製品は一般財団法人日本自動車研究所(JARI)の認証を取得したモデルで、経済産業省の「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」の対象機種にも登録された。

 同社は中速充電器「Pit-QCシリーズ・EVQ」にも注力しており、「9.6kW高出力普通充電器」の開発により製品ラインアップが一段と強化された。

<記事は雑誌116〜117頁に掲載>



最新号コンテンツ
巻頭提言
“災害大国ニッポン”に不可欠の防災モビリティ

防災庁発足を視野に入れ、注目度高まる災害対策車
特報「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026」
“次世代未来都市”を展望

“働く”EV、躍動する電動車、最新鋭インフラ機器、災害対策車など一堂に集結

■特別寄稿
・私が「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO」を推す5つの理由
 EV時代の主役は「都市インフラ」そのものである。
 オフィスTown Build 代表:前野博司

・暮らしを支える商用車の電動化が着々と進行しようとしている。
 トラックのEV化は新しい用途を生み出すきっかけになる。
 モータージャーナリスト:御堀直嗣

・今年の展示会は“防災”用製品が新しいトピックだった!
 FDSの水生成装置・都市型家庭菜園システム、大江車体特装の防災インフラカーに注目しました。
 医学博士・DMAT 医師:富和清訓

■講演・パネルディスカッション
・EVを活用した非常時・平常時の電源確保
 高橋伸和(北海道電気相互株式会社代表取締役)
 御堀直嗣(モータージャーナリスト)
 高木啓司(株式会社山下PMCシニアマネージャー)
 疋田智(TBSテレビGM職プロデューサー)

・災害発生時のサバイバル戦略
 野々村健志(トヨタカローラ島根株式会社代表取締役社長)
 富和清訓(医学博士・西奈良中央病院整形外科医)
 五十嵐優樹(株式会社FDS 代表取締役)
 大江晴久(株式会社大江車体特装代表取締役)

・「Velo-city 2027 Ehime」開催の意義
 藤原康芳(Velo-city 2027 Ehime 実行委員会事務局長)
 小林成基(NPO 自転車活用推進研究会理事長)
 遠藤まさ子(自転車ジャーナリスト)

クローズアップ
アクアルミ
特許取得LED 素子搭載の防蚊ライト「パッパカ・カーライト」「ルミ・カーライト」

日東工業
国内メーカー初のJARI 認証9.6kW 普通充電器を発売
補助金対象製品。1時間充電で約67kmの走行が可能
連載・読み物・情報
  • GOOD CYCLE JAPAN 金籠 史彦
  • 欧州EV通信 山辺 知子
  • 自転車を眼鏡にして世の中を見る 小林 成基
  • EVのある暮らしと未来社会 御堀 直嗣
  • 提言24時 前野 博司
  • 自転車ヒストリア 谷田貝一男
  • News & Information
  • 奥付・広告索引
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