日本の少子高齢化に歯止めがかからない。 厚生労働省の広報資料によると日本の総人口は減り続け、 2070年には9000万人を割り込み、 8700万人まで落ち込むと予測されている。 2024年の総人口は1億2379万人とされているので、 46年後には約3680万人の人口が日本から消滅することになる。 1億人の大台を下回るのは2055年頃と推定されている。
さらに憂慮すべきは少子高齢化に伴う人口構造の変化で、 2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%となり、 2070年には高齢化比率が39%になると推計されている。
日本政府には少子高齢化への流れを鈍化させる政策の立案・実行に期待したいが、 高齢化が避けられないとするならば高齢化社会における最適な社会経済の仕組みを構築し、 暮らしの安全と利便性、活性化をはかっていくしかないのは当然のことであろう。
それではいかにして我々の生活を活性化させ、 向上させていくシステムを構築していくかだが、 そのひとつのカギを握っているのは移動手段、交通システムの改革・改善だろう。 人は、社会は移動することによって健康と活力を保持し、 新たな希望を抱いて発展への道筋を構築していく。
少子高齢化に伴って地方都市、ローカル地区の移動・交通システムは弱体化しているが、 これを再構築していくことは我々に課された喫緊の課題だ。 人の移動が減少・弱体化すれば社会は活力を失い、経済活動も衰退していく。 地方の経済が疲弊していけば、 それは日本全体の国力低下につながっていくことは自明の理と言うべきだろう。
地方・ローカル都市の移動手段に適したEV小型・マイクロバス
国の、とりわけ地方の交通システムを活性化させていくことは国全体の舵取りに関わることでもあり、 簡単ではないだろうが、ひとつの方法として本誌が提案したいのはEV小型・マイクロバスの普及・活用である。
EVが環境に優しいことは言わずもがなであるが、 電動システムを活用した小型・マイクロバスには見逃せないメリットがことのほか多い。
①EVなので脱炭素、カーボンニュートラルに貢献できる、 ②大型・中型バスと較べて車体が小ぶりなので小回りが利き、運転がしやすい、 ③狭い道でも通行が可能、 ④車体が小さいので駐車しやすい、 ⑤購入価格・運行費用が比較的廉価、 ⑥日常ユースのコミュニティバスや観光・送迎用バスとしての活用に向いている、 ⑦廃止となったローカル鉄道に替わり、レール不要で利便性の高い路線バスとして活用しやすい、 ⑧EVなのでITテクノロジーとの親和性が高く、次世代モビリティとして新たなシステムが導入しやすい、 ⑨自動運転システムを採用する車両としての活用が期待できる、 ⑩客室の構造上、乗客がコミュニケーションをとりやすい。
ざっと思い浮かべただけでも以上のような特長を挙げることができるのだが、 いかがだろうか。
昨今、EV小型・マイクロバスのラインアップを拡充する自動車メーカーは世界レベルで増加しており、 その流れはさらに強化されていくはずだ。 車種の人気を左右するのは、車両の安全性、機能・利便性、快適性、そして経済性であることは間違いない。
トヨタ自動車
「Mobility for All~すべての人に移動の自由を。」のコンセプトの下、 市場に投下されたC+walk シリーズ。 立ち乗りタイプのC+walk T、座り乗りタイプのC+walk Sとも歩道走行に限定した乗り物で、 最高速度時速6㎞ のパーソナルモビリティだ。 スタイリッシュで洗練されたデザインに仕上げられた車体が醸し出す上品なテイストが感じられる。
「歩道の中で人と一緒に走る乗り物というのは圧迫感があってはいけません。 コンパクトでスタイリッシュなデザインにすることで使いやすい製品に仕上げました」と語る開発責任者の山田雅司主幹。 同氏にC+walkシリーズの魅力を披露していただいた。
(本文は雑誌に掲載)
ベルエナジー
ベルエナジー(本社・茨城県つくば市、代表取締役社長・鈴木勝蔵)は11月8日、 走行から給電まで一貫して脱炭素を追求した業界初の完全ゼロエミッション電源車「MESTA Gen(メスタ・ジェン)」を発表した。
この「MESTA Gen」はEVの駆動用バッテリーから直接電力を取り出す独自技術を応用し、 これまで実例のないEV からの三相電力の供給を50kW という大出力で実現している。 注目の画期的放電システムだ。
(本文は雑誌に掲載)
今年9月2日、「一般社団法人多様なモビリティの安全性向上推進協会」が設立された。 同協会はあいおいニッセイ同和損害保険(代表取締役社長・新納啓介)と 次世代モビリティ事業を展開するBRJ(代表取締役・宮内秀明)の連携により発足した組織で、 マイクロモビリティに関する交通ルールやその特性を利用者だけでなく利用者以外に対しても啓発活動を展開していく。
社会全体の交通安全マインドの醸成と安全・安心・快適なモビリティ社会の実現を目指す同協会の活動が注目される。
同協会の代表理事を務める宮内秀明氏にインタビューした。
(本文は雑誌に掲載)
研究に研究を重ねた製品を完成させ、満を持して新製品を発表した後、発売に踏み切る。 それが新たな製品を世に送り出すメーカーが選択する通常のパターンだが、 地域住民と連携した活動を展開する中でモビリティの可能性を追求し、 新たな価値創造の道を探っていく──。 そんな個性的な活動を推進しているのが、 ヤマハ発動機クリエイティブ本部プランニングデザイン部共創デザイングループだ。
同共創デザイングループが取り組んでいる主要プロジェクトは、 「Town eMotion(タウンイーモーション)」で、 同グループはモビリティの新たな可能性を広げていくことを使命として掲げ、 個性的な仮説・提案を実行に移している。 同プロジェクトで活用しているのが、地域社会の活性化で注目が高まるグリーンスローモビリティだ。
共創デザイングループの榊原瑞穂グループリーダーにインタビューした。
(本文は雑誌に掲載)
筑波大学システム情報工学の石田政義教授が提唱するグリーンホロニズム構想。 同構想は2007年頃から独自の総合的エネルギーシステムとしてブラッシュアップを進め、 2021年には次世代エネルギーシステムタクスフォースの成果として結実した。
水素を有効に活用し、脱炭素社会、カーボンニュートラル社会の実現を目指すグリーンホロニズム構想は地産地消の発電システムで、 移動手段としてのホロニズムモビリティやFCV(燃料電池自動車)の普及を推進する注目の独自構想だ。 ホロニズムタウンのホロニズムエネルギーステーションは、 地域性を活かした要素技術(各種再エネ発電技術)を受け入れることで電力を創出する。
グリーンホロニズム構想の中核メンバーとして活動を続ける JARI·一般財団法人日本自動車研究所 環境研究部電動技術グループの森田賢治シニアエキスパート博士にインタビューした。
(本文は雑誌に掲載)
日信電子サービス
10月18日から20日までの3日間、東京・西新宿で最先端のスマートサービスを体験できる 「スマートシティフェスタ」が開催された。 同イベントのメイン会場である新宿中央公園でも乗用人型変型ロボットの展示など多彩なパフォーマンスが繰り広げられたが、 追従型電動車いすの「SCOO J+Go-With」も先進的移動モビリティとして来場者の注目を集めていた。
「SCOO J+Go-With」は人やモノの後を自動的に追従できる付加価値の付いた電動車いすで、 日信電子サービス(本社・東京都墨田区、代表取締役社長・髙野利男)が ロボットメーカーのDoog、電動モビリティメーカーのキュリオと協働して市場に送り出した注目のニューモデルだ。
(本文は雑誌に掲載)
バイクいろいろ、旅もいろいろ、人生いろいろ······。
「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO2024」ではサイクルツーリズムと題してパネルディスカッションを開催した。 今回はベテランサイクリストとして知られる疋田智、内海潤、遠藤まさ子の3氏に加え、 オートバイのマン島TTレースを走破したバイクライダーであり、 電動バイクの開発にも取り組んでいる岸本ヨシヒロ氏にも加わっていただき、 広範囲な見地からツーリングについて話し合っていただいた。
さまざまなモビリティが世の中に登場している昨今、 ツーリングの楽しみも広がりを見せている。 ベテランライダー達が語ったバイクいろいろ、ツーリングいろいろ、楽しみいろいろの体験談と提案をお届けしよう。
(本文は雑誌に掲載)
6月5日・6日の両日、東京・西新宿の新宿住友ビル三角広場で開催された「BICYCLE-E·MOBILITY CITY EXPO 2024」では、 有識者、ジャーナリストら気鋭の論客によるパネルディスカッションが繰り広げられた。 「命を守る自転車ヘルメット」もそのひとつで、富和清訓、内海潤、疋田智、遠藤まさ子の4氏は 豊富な体験談を交えながら貴重な意見を披露してくれた。
自転車に乗る上で何よりも欠かすことができないことはヘルメットの着用である。自分の命は自分で守ろう──。 4氏は表現の違いこそあれ、サイクリストに真情あふれるメッセージを送ってくれた。
(本文は雑誌に掲載)