トレーニングというのは、すべからく厳しいものだ。とりわけ、それが競技という範疇に入るものならなおさらのことである。
競技の世界で頂点を目指す時、プロにはプロの、アマチュアにはアマチュアの厳しさがつきまとう。勝ち上がるため、生き残るために日々繰り返す過酷な反復練習。孤独な戦い。妥協に打ち勝つ克己心。
勝利という、ただそれだけのために己を律し、追い込んでいく鍛錬の日々──。
楽しみで自転車に乗るならばシンドイことなど必要ない。心地よい風に吹かれながら自由気ままにペダルを踏めばそれでOKだ。が、トップレベルで勝負する競技の世界となると話は違う。勝利を目指してやらなければならないことは無限大なのである。
2010春季トレーニング特集・PART2では競技に打ち込むアマチュアレーサーを追った。
ロードレースシーズンの幕開けをひかえ、西谷雅史(チームオーベスト代表)が燃えている──。同選手は知る人ぞ知るホビーレーサーの雄で、ツボにはまれば驚異的な爆発力を発揮する。2007年Jツアーにおいて実業団のトッププロレーサーを破り、見事優勝を飾ったパワーレースは我々に鮮烈なインパクトをもたらした。
自らに厳しく向き合う情熱の男西谷。同選手のトレーニング現場を追った。
「今年の目標はただ1つ、インカレ制覇だ!」。
法政大学自転車競技部が燃えている。昨年のインカレの総合成績は2位。27連覇を達成した日大の前に敗れ去った。だが、今年は違う。キャプテン青柳憲輝は新チームが始動すると同時にインカレ制覇を目標に掲げ、計画的な科学的トレーニングに取り組んでいる。意気上がる法政大学のトレーニングを密着レポートした。
高岡亮寛さんと言えば、国内ロードレース界では名うてのホビーレーサー。特にツール・ド・おきなわの市民200kmレースでは2007年から2009年まで優勝、2着、2着と見事な成績を残している。今年もまたチャンピオンの座をかけて熱い走りを見せてくれるに違いない。
仕事と自転車競技の両立。アマチュアレーサーが抱える不可避のテーマを高次元で成立させている高岡さんにインタビューした。